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2021年03月28日15:16 競馬Masters RSS




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[ 関谷泰正 ] 競馬場へ行こう - オヤジ小話

 


以前「バローネおじさん」というタイトルで、
競馬場で出会った粋な親父について書きました。
考えてみると、競馬場には他にもたくさん面白い方が大勢いるので、
今日は私の経験談を思うがままに書いてみます。

「卒倒オヤジ」
いきなり物騒な題目ですみません。
文字通り、競馬場で倒れた親父を目撃しました。
何年前かは忘れてしまいましたが、確か冬の中山開催だったと思います。
万馬券が出て、確定アナウンスが流れると同時にバタッといったみたいです。
すぐに警備員が駆けつけ、救急隊員が担架で運んでいきました。
当たったのか外れたのか、いくら買っていたのか等はまったく知りませんが、
色々と勝手な想像を膨らませたのをよく覚えています。
こういう事はよくあるみたいで、警備員達も割と落ち着いていたようでした。
煙草の箱には「吸い過ぎはあなたの健康を害する恐れがあります」と書いてありますが、
こうなると馬券にも
「買い過ぎはあなたの人生を台無しにする恐れがあります」と書くべきでしょうね。
驚いたのは、次の週もそのオヤジを競馬場で見た事でした。
少し顔色が悪いようでしたが・・・きっと競馬場で死ねれば本望なのでしょう。

「自分と行動パターンが同じオヤジ」
何度も競馬場へ足を運んでいると、一日の行動パターンが段々と決まってきます。
何時に到着して、どこに座って、パドック行って、馬券買って、レース見て・・・
という誰しもが通る平凡な道筋の中にも、色々と細かいこだわりが出てくるものです。
例えば私の場合、パドックを見る際、必ずスタンドとは反対側の場所まで行きます。
人ごみが嫌いなせいもありますが、
オッズ板が見えてしまうとどうしてもオッズを気にしてしまうからです。
必ず、オッズ板を背にしてパドックを見る事。
これをいつも忠実に実行しているオヤジを、中山でよく見かけます。
そのオヤジは私と行動パターンがよく似ていて、
パドックはもちろん入場門、馬券売り場、トイレ、スタンド等でもよく見かけます。
何万という人が集まる競馬場なのに、これはある意味では奇跡に近いのではないでしょうか。
以前、馬券を当てて喜んでいた時に、偶然そのオヤジと目が合った事があります。
オヤジは金歯を見せながら、ニヤリとしていました。
買い目まで似ていたりして。

「ローカル大西乗り替わり関西馬オヤジ」
これは人づてに聞いた話です。私は会った事がありません。
ある友人が、夏の後楽園のWINSでこのオヤジと会いました。
「ローカル開催はなぁ、乗り替わりで大西が乗ってる関西馬だよ」
・・・一瞬耳を疑うような、奇妙なセオリーです。
統計を取った訳ではないので、このセオリーの信憑性は分かりませんが、
ともかくその日、このセオリーに則ってオヤジが万馬券を当てた事は確かなようです。
多分偶然だと思いますが・・・。
この話を聞いて以来、ローカル開催で大西騎手の名前を見ると、
ついつい注目してしまいます。

こういう話を思い出していると、
競馬という博打はつくづく不思議なものだと思います。
金を奪い合っている者同士なはずなのに、愛すべきキャラクターがそこかしこにいて、
払い戻しに並んでいる時には連帯感すら生まれます。
レースはとても華やかに見えますが、
その一方でスタンドではこんな小さなストーリーが花を咲かせています。
うん、やはり競馬場はいいものです。

 

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