さて、今日は有馬記念の反省です。
私が思い描いていた展開とは大幅に異なり、
ディープインパクトの強さがフルに発揮されたレースだったと思います。
まずスタート。スイープトウショウがゲートを嫌って出遅れます。
これはよくある事なので、別に驚きはしなかったのですが、問題はその直後です。
後方待機策を選んだ騎手達が、誰もディープインパクトの外側につけないのです。
出遅れたスイープトウショウ、スウィフトカレントはディープの後ろにつき、
最もチャンスがあったウインジェネラーレは先に行きました。
大外捲りが最も安全な勝ち方であると分かりきっているディープに対し、です。
池添騎手、横山典騎手、蛯名騎手は、この位置取りを自ら選んでいましたが、
これでディープに勝てると思っていたのでしょうか?
ディープの外側を併走して大外捲りを封じ、自分の馬が勝つ可能性を少しでも
高めるような騎手がいなかったという事は非常に残念です。
また、そういった事態になると予想できなかった自分に、未熟さを感じます。
「ディープ以外の後方馬は初めから入着狙いだった」という意見も耳にしましたが、
もしそうだとしても、やはりディープの捲りを封じた方が、
上位に食い込む可能性は高かったと私は思います。
現に結果として、3頭とも下位に沈んでしまいました。
先行馬達は、どうやら自分の走りに徹したように見えます。
これには納得で、ディープより前で競馬をするからには、こうする他はありません。
切れる脚が無いアドマイヤメインは、長い脚を活かした大逃げ。
前を目標に粘りこみを狙うダイワメジャー。
その他の先行馬も、「これで負けたら仕方ない」という走りを見せてくれました。
その中で、最も勝利への執念を見せてくれたのがコスモバルクと五十嵐騎手でした。
残り800mから、ディープが通るであろう道を、外に持ち出して先回りしました。
4角ではもう手応えが無くなり、あっさりとディープに捲られてしまいましたが、
これはこれで仕方の無い事です。
勝利への意気込みが垣間見えた、あっぱれな走りだったと思います。
本命ドリームパスポートは、不利もあって4着でした。
スタートで若干立ち遅れたのはそれほど痛くはなかったはずですが、
4角で馬なりのまま馬が内に突っ込んでしまい、前が壁になってしまいました。
道中で下げて外を回すという選択肢もありましたが、
それではこの馬の持ち味である瞬発力を活かせる競馬になりません。
仕方ないといえばそれまでですが、なんとも悔しい結果となりました。
内田騎手がどう乗っていれば良かったか・・・ちょっと私には分かりません。
そしてディープインパクトです。
4角で半分以上抜き去り、坂で脚が鈍る事を想定した早めの差し。
これ以上に安全で、かつディープの持ち味が発揮できる戦法はありません。
頭では分かっていても、実行するのが難しい。
それが競馬なのですが、あっさりと決めてしまう武豊騎手もお見事でした。
「これだ!これがディープインパクトだ!」という実況が的を得ています。
圧倒的なスピードと持続力を、最後まで見せつけてターフを去った名馬に、
惜別の拍手を送りたいと思います。
有馬記念の終わりと共に、本格的な年の瀬を感じるのが毎年の常なのですが、
中山競馬場の帰り道、私が抱いた感覚は例年と少し違っていました。
私が競馬を見始めたのは97年ですが、
その頃すでに全盛を極めていたサンデーサイレンスの時代が、
ディープインパクトの引退でついにその幕を閉じた気がしています。
もちろんまだ産駒は走っていますし、後継種牡馬もたくさんいるのですが、
真のトップレベルという意味で、ディープはSS最後の産駒と言えるでしょう。
そして、SS時代の終わりによって、
私の競馬人生の第1章が終わった気もしています。
これには理由はありません。
でも、そう感じてしまったのですから、仕方ありません。
引退によって、その走りを見てきた者に、
ひとつの時代の終わりを感じさせるような名馬を再び見られるのは、
いったい何年後になるでしょうか。
ディープインパクトは、偉大な馬でした。
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