競馬の開催日、朝っぱらから馬場に来ている人達に、
「今日の勝負レースはどれですか?」と聞いてみたら、
おそらく大多数の人がメインレースの名前を挙げるかと思います。
別のレースを挙げる人もあろうかとは思いますが、
それでも私のように「新馬戦」と答える人はまずいないのではないでしょうか。
レースが歴史を彩る戦いの日々とするならば、
新馬戦は関係者の夢を描く、真っ白なキャンバスです。
こんな気障な書き方をしてしまうほど、私は新馬戦が好きです。
競馬場の昼休み、レストランやファーストフード店が賑わっている頃、
パドックでは新たな歴史への一歩を踏み出さんとしている若駒達が、
落ち着き無く周回を繰り返しています。
当然どの馬も過去の実績を持っていないため、馬券の売れ行きは
血統によって大幅に左右されます。
「〜の弟(妹)だ」といった情報だけで、その馬自身の評価を上げてしまう、
ある種の錯覚を覚えます。
でも私には、血統や前評判だけで新馬戦の馬券を買う事は、
なんだかとても寂しい事だと思えます。
まだ何もしていないのに、その馬自身を見ないで評価を下すのは、
余りにも残酷で無機質な決断じゃありませんか。
エリモハリアーが新馬としてデビューしたとき、人気は全馬中最低でした。
初勝利までに8戦かかりました。
でも今は、重賞ウィナーとして、堂々と人気を背負うまでに成長しました。
初めて駆けた日を思い出せ。
あの時、自分に無機質な決断を下した連中にへ向けての、健闘を祈る。
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